【フォトマスター検定対策】:ジャンル/機材・アクセサリー
「モノクロ用フィルターの種類」
意外に思われるかもしれませんが、モノクロ写真用にも便利なフィルターが数多く存在します。
※レベルとしては準1級、1級向けの知識になります。
モノクロ用フィルター(白黒用フィルター)ってなに?
モノクロ用のフィルターってどんな種類があるの?
コントラストフィルターって?
Y2、YA3、R1フィルターって?
PO0(ピーオーゼロ)、PO1(ピーオーワン)フィルターって?
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フィルターとは
数回に渡り、カメラアクセサリの中でもメジャーな「フィルター」について解説していきます。
フィルターとは、レンズの前面に装着するアクセサリです。
フィルターの役割の例としては、レンズの前玉(一番被写体側に位置するレンズです)を保護したり、特定の波長の光をカットしたり、色を補正したりする効果があります。
装着方法としてはねじ込み式や専用のアダプタが必要になるものまで様々ですが、最近のレンズはレンズ前面にねじ山が切ってあり(雌ねじ)、ここにフィルター側にも切ってあるねじ(雄ねじ)をねじ込むことで装着するのが一般的です。一部のレンズ(超広角レンズなど)は前玉が飛び出していて、物理的にこのフィルターが装着できないものも存在します。また、フィルターにはさらにねじが切ってあり(雌ねじ)、複数枚のフィルターを重ねて装着することもできます。
今回は、「モノクロ用(白黒用)フィルター」について解説します。
モノクロ用フィルターとは
やや上級者向けの知識にはなるのですが、モノクロ撮影(白黒撮影)用のフィルターが存在します。
意外に思われる方が多いかもしれませんが、モノクロ撮影において、調整用のフィルターは非常に重要なアクセサリーといえます。
モノクロ撮影ではもちろん「色味」がないため、白と黒の濃淡での表現しかできません。実際にカメラの設定を変えてモノクロ撮影を行ってみるとわかりますが、青空に浮かぶ雲が空に溶け込んでしまったり、人肌が不自然に写ったりするなど、カラーで撮影したときよりも綺麗に表現できない場合があります。
写真は、随分と「カラーの情報」によって助けられています。
モノクロで撮影しても、できる限り肉眼でみた際の印象に近づくように、コントラストや調子を整えるアクセサリー。それがモノクロ用フィルターです。その効果から、「コントラストフィルター」と呼ばれることもあります。
モノクロ用フィルターの効果
百聞は一見にしかず…ということで、まずは先にモノクロ用フィルターの効果の例を見てみましょう。
上の写真をご覧ください。
この写真は、真夏の尾瀬の景色を撮影したものです。肉眼で見たときは「雲の立体感や濃い青空との対比」に感動し、撮影したものの…そのままモノクロで撮影すると、意外と白黒のコントラストが弱く、フラット気味な空になってしまっています。肉眼で見た際は、もっと迫力があったのですが…。
そこで、モノクロ用フィルターである「YA3」というフィルターを使って撮影してみました。
青空の部分が暗くなり、雲の立体感がぐっと強まったのがわかると思います。濃淡によって、迫力が出てきましたね。
モノクロ用フィルターの種類
上記の写真の例のように、モノクロ用フィルターを装着するとコントラストが上がる理由は、モノクロ用フィルターが特定の光の波長のみを通し(透過)、特定の波長を吸収する(通さない)作りになっているからです。
光は、波長によって色が異なります。数字が小さい(波長が短い)ほど紫っぽく、数字が大きい(波長が長い)ほど赤っぽい色です。フィルターによって吸収できる光の波長(色)が異なりますが、吸収された色の光は撮像素子やフィルムに届きにくくなるため、モノクロ写真では暗くなります。さきほどの例で、YA3フィルターを使用すると青空の部分が暗くなっていましたが、これはYA3フィルターが短い波長の「紫色~青色」の光が吸収する性質を持っているからです。青色の光が吸収されることで、モノクロの濃淡において「濃く」表現できたというわけですね。
以下の表に、メジャーなモノクロ用フィルターの種類とその特徴についてまとめました。
名称 | 吸収する波長 | 用途・特徴 |
Y2 | 約350~460[nm] 紫~青色 |
・青空を含む風景や建物、スナップ撮影向け
・Y2、YA3、R1の中では効果は弱め ・フィルターの色は黄色 |
YA3 | 約350~530[nm] 紫~青色 |
・山岳、海洋、建築物などの撮影向け
・Y2よりも効果が強い ・フィルターの色はオレンジ |
R1 | 約350~570[nm] 紫~緑色 |
・遠景の鮮明な描写や、迫力のあるイメージ作りに
・YA3よりも更に効果が強く、強いコントラストを生む ・フィルターの色は赤 |
PO0 (ピーオーゼロ) |
【参考】 ケンコー・トキナー 商品情報ページ |
・屋外の風景を含めたポートレート撮影
・赤と赤を吸収し暗く、緑を明るく強調する ・フィルターの色は黄緑 |
PO1 (ピーオーワン) |
【参考】 ケンコー・トキナー 商品情報ページ |
・屋外の風景を含めたポートレート撮影
・赤と赤を吸収し暗く、緑を明るく強調する ・PO0よりも効果が強い ・フィルターの色は緑 |
モノクロ用フィルターに関する知識は、フォトマスター検定の過去問でも実際に出題されています。
「どのフィルターがどの波長を吸収し、どのように見え方が変わるか」かが理解できていないと解けない問題だったので、用途と共にしっかり整理しておきましょう。