【フォトマスター検定対策】:ジャンル/機材・アクセサリー
「PLフィルターとは(Part.2)」
Part.1,2の全2回に分け、フィルターの中でもメジャーなPLフィルターについて解説します。
※「PLフィルターとは(Part.1)」の内容を理解している方向けです
PLフィルターを使うとどんな効果があるの?
PLフィルターのデメリットは?
PLフィルターの効果的な使い方は?
C-PLフィルターってなに?
スポンサーリンク
フィルターとは
数回に渡り、カメラアクセサリの中でもメジャーな「フィルター」について解説していきます。
フィルターとは、レンズの前面に装着するアクセサリです。
フィルターの役割の例としては、レンズの前玉(一番被写体側に位置するレンズです)を保護したり、特定の波長の光をカットしたり、色を補正したりする効果があります。
装着方法としてはねじ込み式や専用のアダプタが必要になるものまで様々ですが、最近のレンズはレンズ前面にねじ山が切ってあり(雌ねじ)、ここにフィルター側にも切ってあるねじ(雄ねじ)をねじ込むことで装着するのが一般的です。一部のレンズ(超広角レンズなど)は前玉が飛び出していて、物理的にこのフィルターが装着できないものも存在します。また、フィルターにはさらにねじが切ってあり(雌ねじ)、複数枚のフィルターを重ねて装着することもできます。
Part.1,2の全2回に分け、フィルターの中でも採用されやすい「PLフィルター」について解説します。
今回のPart.2は、PLフィルターの効果(メリット)とデメリット、効果的な使い方について説明します。
※「PLフィルターとは(Part.1)」の内容を理解している方向けです
PLフィルターの効果(メリット)
これまでの説明で、「偏光をカットあるいは低減する」というPLフィルターの原理は理解できたと思います。
上記の原理から、PLフィルターを装着することによって得られる主な効果は、以下の2つです。
(1) ガラスや水面からの反射(偏光)を除去する
・ガラスや水面からの反射(偏光)を抑え、「ショーウインドウの中の様子」や「水中の様子」を写せる
(2) 色味を強める
・空気中の水蒸気などからの反射(偏光)を抑え、青空の色味を強める
(+虹の色味を強調することも可能)
・葉や花からの反射(偏光)を押さえ、植物の持つ色味を強める
街中でのスナップや水辺での撮影、青空の入った構図、秋の紅葉 etc…。
意図しない「不要な写り込み」が気になったり、風景撮影時に色味を強調したいケースは多いです。
PLフィルターのデメリット
活躍シーンの多いPLフィルターですが、PLフィルターにはデメリットも存在します。
1つ目は、PLフィルターを使用すると「露出が1段~2段程度マイナス」になります。
PLフィルターは偏光をカット・低減する効果がありますが、これは同時に撮像素子が取り込む光の量も減らしてしまっているため、写真の露出としては暗くなります。したがって、PLフィルターを装着しない場合と同じ露出を得るには、シャッタースピードを遅く設定する必要があったり、絞りを開ける必要が出てきます。マイナスになる露出の程度はシチュエーションによって変わりますが、「1~2段程度」と覚えておけばOKです。
2つ目は、PLフィルターを装着すると、「画質が若干ながら低下」します。
完成されたレンズの前に「余分なガラス」を重ねているわけですから、画質に影響が出てきます。
最近のPLフィルターは画質に対する影響を極力軽減するような工夫が盛り込まれていますが、原理として覚えておきましょう。
3つ目は、レンズによっては「偏光ムラ」や「ケラレ」が発生します。
これらは、写し込める範囲の広い広角レンズで発生しやすい現象です。
「偏光ムラ」とは、画面内でPLフィルターの効果が均一に発揮されず、効果が表れている部分と表れていない部分が生じてしまうことを指します。また、「ケラレ」はレンズフードやフィルタの枠部分が画面に写りこんでしまい、画面周辺部が欠けたり暗くなったりすることを指します。広角レンズに装着した際のケラレを防ぐために薄型化したPLフィルターなどもあるので、広角レンズにPLフィルターを装着したい場合は注意が必要です。
PLフィルターの効果的な使い方
続いて、PLフィルターの効果的な使用方法について説明します。
PLフィルターの力を効果的に発揮するには、撮影時のポジションが重要になってきます。
(1) ガラスや水面からの反射(偏光)を除去したい場合…
・反射面に対して0°あるいは90°の位置では反射(偏光)の除去効果はほとんど発揮されない!
・反射面に対して30°~40°の角度のとき、最も効果が発揮できる!
偏光を除去したい反射面(例えば、ガラスや水面)に対し、30°~40°の角度のとき、最も効果が強くなります。
しかし、やりすぎると不自然な写真に仕上がる可能性があるため、強く効かせればよいわけではなく、撮影シーンに応じて微調整が必要です。
(2) 青空の色味を強調したい場合…
・太陽を背に向けた状態で、太陽光とレンズの光軸が90°のときに最も効果が発揮できる!
・逆光ではPLフィルターの効果は薄い!
太陽を背にした状態で、太陽光の光軸に対して90°の方向にレンズを向けると一番効果が高くなります。
太陽は時間帯によって高さが変わるので…
太陽の位置が低い場合(朝方など)は頭上にレンズを向ければ効果的で、太陽の位置が高い場合(日中)は地平線方向にレンズを向ければ効果的ということがわかると思います。使用の際には、「太陽の位置」に注意しましょう。
C-PLフィルターとは
PLフィルターは、バリエーションとして「C-PLフィルター(円偏光フィルター)」が存在します。
先頭の「C」は「Circular(円形の)」という単語から来ており、サーキュラーPLフィルターと表記されることもあります。
偏光をカットあるいは低減するという効果だけでいえば、PLフィルターもC-PLフィルターも大差ないのですが、基本的に通常の「PLフィルターはマニュアルフォーカスのカメラ用」、「C-PLフィルターはマニュアル/オートフォーカスのカメラ用」と覚えてください。
詳しい原理は専門的になるため省きますが…。
オートフォーカス機構を搭載したカメラの多くは、偏光性のあるハーフミラーを採用しています。
そのため通常のPLフィルターを使うと、フィルターの回転角度によっては「PLフィルターの偏光角と、カメラのハーフミラーの偏光角が干渉してしまって、オートフォーカス機構や測光機構が正常に機能しない」ことがあります。
C-PLフィルターの特徴は、この問題を防ぐために偏光膜の他に1/4波長板というものが入っています。
この1/4波長板は、通常の偏光(直線偏光)を、円偏光という螺旋を描くような振動の光に変える働きがあります。光の振動方向を変えてあげることで、カメラ側のハーフミラーとの干渉を防いでくれるわけですね。
【ポイント】
・オートフォーカス機構のカメラにPLフィルターを装着すると誤動作を起こしやすい
・オートフォーカス機構のカメラにはC-PLフィルターを使用する
・C-PLフィルターはマニュアルフォーカス機/オートフォーカス機のどちらにも使える