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【デジタル編:06】ローパスフィルター、ローパスフィルターレスとは | 一発合格!フォトマスター検定

【デジタル編:06】ローパスフィルター、ローパスフィルターレスとは

更新日:

 

【フォトマスター検定対策】:ジャンル/デジタル

「ローパスフィルターとは」

偽色や色モアレを軽減させる、「ローパスフィルター」について解説します。

※別記事:撮像素子の構造・仕組みで撮像素子(イメージセンサー)の概要を理解している方向けです

 

ローパスフィルターってなに?

偽色って?色モアレって?

ローパスフィルターの仕組みはどうなってるの?

ローパスフィルターレスって?

 

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ローパスフィルターとは(前置き)

 

今回は、デジタルカメラの「ローパスフィルター」について解説します。

ローパスフィルターという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
大抵のデジタルカメラには、撮像素子(イメージセンサー)の前にローパスフィルターというフィルターが設置されています。ローパスフィルターは「モアレ」「偽色」と呼ばれる「被写体には存在しないはずの色や縞が写ってしまう現象」を防ぐために搭載されているのですが、原理に入る前に、まずは「色モアレ」と「偽色」について説明します。

 

 


モアレとは

 

モアレとは、網目のような被写体や、規則正しいパターン模様を撮影した際に現れる、「本来の被写体には存在しない縞模様(干渉縞)」のことをいいます。この縞模様を「モアレ縞」と呼んだり、色が付いた場合に「色モアレ」と区別する場合もあります。

 

 

キレイなものではないのですが、上の写真をご覧ください。
こちらは、壁に立てかけた網戸を撮影した写真になります。遠目に見ると、斜めの明暗の縞模様がいくつも写っているのがわかりますね。これがモアレ(干渉縞)です。

 

このモアレが発生する原因は、被写体の規則正しいパターンと、撮像素子(イメージセンサー)の画素の配列パターンが干渉してしまうために発生します。規則正しいパターンの例としては、生い茂る樹木の葉っぱ、カーテンのレース、服の生地だったりと、至るところで発生する可能性があります。上のサンプルの例では、網戸の規則的な格子パターンと、撮像素子(イメージセンサー)の配列パターンが干渉することで発生してしまっています。細かい原理は省きますが、基本的に画素の並びよりも画像に写した像の方が細かい場合(高周波成分)に発生しやすくなります。

 

このモアレを軽減する撮影テクニックとしては、「撮影アングルを変える」「記録画素数を変える」「ピントをやや甘めにする」などが挙げられます。この3つの中では、モアレが発生しないアングルを探すのが最も簡単な方法です。

 

ちなみにですが、フィルムカメラの場合はこの「色モアレ」は発生しません。
その理由は、フィルム内部の感光体はランダムに分布しており、撮像素子(イメージセンサー)の画素のように規則正しく配置されてはいないからです。モアレの発生は、デジタルカメラ特有の現象です。

 

 


偽色とは

 

偽色とは、簡潔に言えば「実際の被写体には無い色が画像に発生してしまう現象」のことです。

偽色は、撮像素子(イメージセンサー)に採用されているカラーフィルターの性質上発生する現象です。
撮像素子の構造・仕組み」にて、一般的な撮像素子(イメージセンサ)の前面にはベイヤー配列のカラーフィルターが配置されていると解説していました。一般的なカメラの撮像素子は、1つの画素につき、RGBのうちどれか1色のみの輝度情報を持つことができます。

 

しかし、実際のカラー画像を拡大すると、どの画素もきちんとRGB3色の情報を持っていますね。
この理由は、カメラの内部処理によって周囲の画素の情報を集め、補完処理を行っているからなのです。

 

偽色は、この補完処理が適切に行われず、存在しないはずの色が画像上に出現してしまう現象です。偽色は、ある一定以上の細かい像(高周波成分)を写したときに、ベイヤー配列のカラーフィルターと作用することによって発生します。

 


ローパスフィルターとは(本編)

 

モアレと偽色の説明を終え、ようやく本題に戻ってきました。
ローパスフィルターとは何か?というお話です。

 

 

まずはローパスフィルターの概要図を描いてみましたのでご覧ください。
機種によって構造が異なる場合もあるのですが、上の図ではベーシックな構造を表しています。

 

ローパスフィルターは前述したモアレや偽色を抑えるために配置されているものです。
多少の違いはありますが、モアレ・偽色ともに、どちらも発生する原因は「画像素子の並びに対しある一定以上の細かい像(高周波成分)を写したとき」に発生します。細かい像が悪さをするわけですから、こうした細かい画像はフィルターを通して大きくぼかしてしまえば、モアレや偽色の発生を抑えられるぞ!…というのがローパスフィルターのコンセプトです。

 

高周波成分の光がレンズ側から撮像素子に届くまでを、順に追っていきましょう。

 

(1) レンズを通った高周波成分の光(1本と考えます)は、ローパスフィルター1で水平方向に分離され、2本の線に分かれます。2本の線に分けられたので、イメージとしては2倍にぼけています。

 

(2) 続いて、赤外吸収ガラスで赤外線部分をカットします。撮像素子は赤外線にも反応しますが、人間の眼は赤外線を捉えることはできません。人間の感受性により近づけるために、ここで不要な赤外線部分をカットします。

 

(3) 更に、位相板または波長板と呼ばれる板で、直線偏光を円偏光に変換します。覚える必要はありませんが、直線偏光のままでは次のローパスフィルター2で高周波成分を分離できないからです。

 

(4) 2本に分かれている高周波成分の光を、ローパスフィルター2で更に垂直方向に分離します。これで合計4本の線に分けられ、撮像素子に届けられます。レンズに入ってきたときは1本だったものが、4本に分けられたのでイメージとしては4倍にぼけています。

 

非常に難しい解説となりましたが、イメージが掴めたでしょうか?
細かな像は意図的にぼかして、モアレや偽色を防ぐ。これがローパスフィルターです。

 

 

ローパスフィルターレスとは

 

高級機種になると、「ローパスフィルターレス」…つまりローパスフィルターを採用していないことをアピールポイントとして売り出しているモデルがあります。

 

ローパスフィルターは像をぼかして撮像素子に届けているわけですから、原理的には解像感を低下させてしまっているわけです。ローパスフィルターレスのカメラは、このローパスフィルターを取り払うことで解像感を高め、ネックであるモアレや偽色に対しては画像処理エンジンの技術でカバーしています。

画像処理エンジンの技術が発達したからこそ実現できた機構と言えますね。

 

 

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