【フォトマスター検定対策】:ジャンル/機材・アクセサリー
「PLフィルターとは(Part.1)」
Part.1,2の全2回に分け、フィルターの中でもメジャーなPLフィルターについて解説します。
そもそもフィルターってなに?
PLフィルター(偏光フィルター)ってなに?
偏光ってなに?
PLフィルターの仕組み・原理は?
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フィルターとは
数回に渡り、カメラアクセサリの中でもメジャーな「フィルター」について解説していきます。
フィルターとは、レンズの前面に装着するアクセサリです。
フィルターの役割の例としては、レンズの前玉(一番被写体側に位置するレンズです)を保護したり、特定の波長の光をカットしたり、色を補正したりする効果があります。
装着方法としてはねじ込み式や専用のアダプタが必要になるものまで様々ですが、最近のレンズはレンズ前面にねじ山が切ってあり(雌ねじ)、ここにフィルター側にも切ってあるねじ(雄ねじ)をねじ込むことで装着するのが一般的です。一部のレンズ(超広角レンズなど)は前玉が飛び出していて、物理的にこのフィルターが装着できないものも存在します。また、フィルターにはさらにねじが切ってあり(雌ねじ)、複数枚のフィルターを重ねて装着することもできます。
Part.1,2の全2回に分け、フィルターの中でも採用されやすい「PLフィルター」について解説します。
今回のPart.1は、偏光とPLフィルターの仕組み・原理について説明しています。
偏光とは
「PLフィルター(偏光フィルター)」は偏光をカットするためのフィルターです。
(ちなみに、PLはPolarized Light…偏光という意味です)
いきなり「偏光」…と言われても、聞きなれない言葉ですのでイメージが湧きませんね。
少し難しい話になるのですが、光は「波」の性質を持っています。普通の状態の光は、縦に振動する波、横に振動する波、斜めに振動する波など、あらゆる方向に振動する波がたくさん混じっています。しかし、この光がガラスや水面などに反射すると、理論上では波の振動方向が揃い、一方向のみに振動する「偏った光」になります。これが「偏光」です。
補足ですが、水やガラスで反射した光は偏光になりますが、鏡や金属面で反射した光は偏光にはなりません。
池やプールの水面を見たときに、光が反射して水中の様子が見えにくくなった経験はないでしょうか?
また、ガラスのショーウインドウで光が反射し、中が見えにくくなった経験はないですか?
これらの原因は、水面やガラスからの反射光(=偏光)が強いために、水中やショーウインドウの中からの光を捉えられないからです。PLフィルターは、この偏光をカット、低減する効果を持つアクセサリーです。
PLフィルター(偏光フィルター)の仕組み
PLフィルターは、「偏光膜」といわれる特殊な膜を、ガラスでサンドイッチした構造です。
そして、この偏光膜こそが「偏光をカットするキモ」なのです。
偏光膜は、以下の2つの性質を持っています。
(1) 決められたある特定の偏光を通す
(2) 偏光特性を持たない光(自然光など)を通す
文章で書くと、なかなかイメージしづらいですね。こちらは図で解説していきます。
イメージとして、PLフィルターの偏光膜はこのようなスリット・柵が入ったものと思ってください。
動物園の檻のようなものを思い浮かべて頂ければ大丈夫です。
この図で考えると、縦に細長いものはくぐり抜けられそうですが、横幅があるものは通れそうにありませんね。
前節で、偏光とは「一方向のみに振動する偏った光」だと説明しました。
たとえば、仮にこの偏光が「縦方向のみに振動する光」だとすれば…。
図を見ればわかるように、スリットは縦長なので、光は通り抜けられます。
しかし、偏光が「横方向のみに振動する光」だったとすると…。
スリットの形を見れば一目瞭然、この偏光膜は通り抜けられません。
補足として、偏光特性を持たない自然光はこの制約を受けずに通り抜けられます。
逆を言ってしまえば、ある偏光に対して、この偏光が通れないような偏光膜(スリット)の角度を探してあげれば、特定の偏光をカットすることができるわけです。上の図の例では、縦振動の偏光に対し、偏光膜をくるっと90度回してあげることで、偏光をカット(=通さないように)しています。
PLフィルターは、この原理を応用したアクセサリーです。
PLフィルターは2重構造になっており、前側(偏光膜)の部分がくるくると回転できる機構になっています。
ファインダーを覗きながら、偏光膜を回転させることで、偏光の影響が少なくなる角度を探すことができるのです。
最後に
「偏光」の意味や、PLフィルターの仕組みがわかったでしょうか?
次回のPart.2では、PLフィルターの効果(メリット)やデメリット、さらに効果的に使用するためのポイントについて解説します。今回の内容を整理し、是非頭に入れておいてください。