「Have a break:08」
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写真・カメラの勉強に飽きたり、疲れてしまったときは、このカテゴリの記事で一息つきましょう。
今回は、「オールドレンズ」を使用する際に必須となる「マウントアダプター」について解説します。
本記事は、別記事:「オールドレンズの魅力」「オールドレンズの写り」に目を通してからお読みいただくと、より内容を楽しめます。
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はじめに
別記事:「オールドレンズの魅力」「オールドレンズの写り」は非常に反響が大きく、「オールドレンズ」を使ってみたいという声を多く頂きました。今回の「Have a break」は、オールドレンズを使用する際に重要となる「マウントアダプター」について解説します。オールドレンズを購入して使ってみたい方は必見です。
レンズマウントとは
マウントアダプターについて理解するためには、まず「レンズマウント」について知る必要があります。
NikonであればFマウントのレンズ、CanonであればEFマウント、SonyであればEマウント…といったように、基本的にカメラのボディ(メーカー)によって使用できるレンズの種類は限定されます。たとえば、自分がCanonのボディを使っているとして、出先で友人のFマウント(Nikon)のレンズを借りて装着する、といったことはできないのです。レンズを正常に使用するには、「カメラのボディ」と「レンズ」の両方が同じ「レンズマウント」に対応している必要があります。
その理由は、メーカーごとにレンズマウントの規格が決められているからです。主に3つの決まり事があり、これらが合致しないとレンズの装着および機能が使用できません。ひとつずつ見ていきましょう。
【レンズマウントで決められる要素】
(1) マウント部(接合部分)のサイズや形
(2) 電気接点
(3) フランジバックの長さ
(1) マウント部(接合部分)のサイズや形
これはイメージしやすいですね。レンズをボディに接続する部分の直径や、ツメの形などです。レンズとボディとでマウント部の形状が異なれば、当然物理的に取りつきません。スクリュー式(ねじ式)のシンプルな構造のものや、バヨネット式(差し込んで少し回転させるとロック)のものがありますが、現在の主流はバヨネット式です。
(2) 電気接点
デジタルカメラの多くは、ピント合わせや絞り値の設定、露出の計算など、多くの動作をカメラ側が自動で行います。撮影するためには、カメラが導き出したこれらの情報を何らかの手段でレンズ側に伝え、レンズのモータを駆動させたり、レンズの絞りを変えなければなりません。カメラ側からレンズ側に情報を伝える経路が、この「電気接点」です。
(3) フランジバックの長さ
フランジバックとは、カメラの撮像素子面(または、フィルム面)からマウント面までの長さのことです。レンズマウントごとにこの距離が厳密に決められていて、仮に上記のマウント形状や電気接点の問題がクリアできたとしても、このフランジバック長が異なればレンズとしては全く使い物にならなくなってしまいます。したがって、3つの制約の中ではもっとも重要な要素といえます。
マウントアダプターとは
「マウントアダプター」は、各メーカー毎に決められたレンズマウントの差を埋め、自分のカメラボディとは異なるレンズマウントのレンズを装着できるようにするアクセサリーです。前節で「マウント部のサイズや形」「電気接点」「フランジバックの長さ」の3つをご紹介しましたが、オールドレンズの使用を前提とすると、基本的にマウントアダプターで差を埋めるものは「マウント部のサイズや形」と「フランジバックの長さ」と考えてよいでしょう。
その理由は、オールドレンズは電気的な機構を持たないものが多く、電気接点が意味を持たないものが多いからです。しかし、比較的近年のレンズを使う場合は電気接点が意味を成す場合もあります。余談になりますが、電気接点が付いているマウントアダプターは、やや価格が上昇する傾向にあります。
まずは、下のイメージ図をご覧ください。
レンズマウントごとのフランジバック長さの差がわかるように図を描いてみました。
Aのフランジバック長さは17mm、Bのフランジバック長さは46.5mmです。AとBのフランジバック長さの差は、29.5mm生じていることになります。ここで、ボディAにレンズBを装着したい場合は、マウント部のサイズや形状を対応させつつ、この29.5mmの差を埋めてあげる必要があります。それを実現するのが、「マウントアダプター」なのです。
上の図が、シンプルに描いたマウントアダプターの装着イメージです。マウントアダプターを間に噛ませることでフランジバック長さが17mm+29.5mm=46.5mmになり、ボディAにレンズBを装着することができました。このように、マウントアダプターを用いることで装着できるレンズの幅が広がります。今回のPart.1でマウントアダプターの概要は理解して頂けたと思いますので、次回の「Part.2」でマウントアダプターを使用する際の注意点や制約について解説していきます。