「Have a break:07」
このカテゴリでは、勉強の合間の息抜きになるような読み物を書いていきます。
写真・カメラの勉強に飽きたり、疲れてしまったときは、このカテゴリの記事で一息つきましょう。
今回は、「Have a break:06」の入門編に引き続き「オールドレンズ」の写りについての記事です。文章少なめ、写真多めでお送りします。
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はじめに
前回の「Have a break:06 オールドレンズの魅力」は反響が大きく、「実際にどんな写りをするのか見てみたい」というお声を多数頂きました。「オールドレンズを使うという選択肢がなかった、そもそも知らなかった」という方も多かったようです。興味を持っていただけて嬉しく思います。
今回は、少々スタイルを変えて…。
実際にオールドレンズを使うとどのように写るのか、作例記事形式でお送りしたいと思います。
今回のレンズ(Planar 1:2.8 f=80mm T*)
Carl Zeiss Planar 1:2.8 f=80mm T*
まずは簡単に、レンズのご紹介を。
今回選んだのは、私のコレクションの中で一番のお気に入りである「Carl Zeiss / Planar 1:2.8 f=80mm T*」です。西ドイツで1970~1973年頃、「HASSELBLAD」社の中判カメラ用の標準レンズとして製造されたモデルになります。40年以上も前のレンズですから、私よりもだいぶ先輩です。
レンズ名の末尾に付いている「T*」はレンズに施された「T*コーティング」を表していて、光の当たる角度によってパープルもしくはイエローに光ります。歯車が沢山付いたようなメカニカルなデザインと、迫力のある男らしい?佇まいに惚れ込み、カメラ屋を駆けずり回って入手したレンズです。シルバーのクロムメッキが施されたバージョンの方が人気があり価格も高くなりますが、一般的な黒いカメラボディに合わせたかったのでブラックを購入していました。
「Carl Zeiss / Planar 1:2.8 f=80mm T*」はVマウントですので、Vマウント→Fマウント変換アダプターを介してNikon D500に装着。少しずつ暖かくなってきたので、新宿御苑をお散歩してきました。オールドレンズの写りを生かしたいので、今回の写真はレタッチは行わずに載せています。
Planar 1:2.8 f=80mm T*:作例
見ごろを迎えた寒緋桜(カンヒザクラ)を1枚。色味がよいですね。
一般的には彩度のメリハリのある写真が好まれそうですが、春前の空気感、桜の儚さを同時に出せています。
絞り開放で撮影。
解像力はだいぶ下がり描写も甘いのですが、ローコントラストで優しい色味です。
花びらはだいぶ散ってしまっていますが、枝の垂れ下がり具合が面白かったので。
F5.6まで絞ると、なかなかシャープに写ります。
複雑な凹凸の立体感を損なうことなく表現できています。
花粉症の人は鼻がムズムズしそうなカットですね。
ちょっと意地悪に、複雑なパターン(木々)を1段絞ってF4で写してみました。さすがに現代のレンズほど解像してはいませんが、ローコントラストな色味と組み合わさることで、「冷たさ」や一種の「怖さ」が表現できています。現代のレンズでは出せそうにない空気感ですね。
白木蓮(ハクモクレン)を見上げて1枚。こちらはF5.6まで絞ったカットです。
白い背景に白い被写体と難しい条件ではありますが、白の違いをきちんと表現していますね。
玉ボケテストのため、最後は絞り開放で。
収差がだいぶ出てますが、やはり色味が素晴らしいです。ソフトな写り、色味は桜に合いますね。
今回は文字少なめ、画像多めでお送りしましたが、いかがでしたか?
現代の基準で見れば欠点だらけのオールドレンズですが、見たままに解像させるだけが写真ではありません。「オールドレンズでしか撮れない画」があり、その魅力を少しでも伝えることができていたら嬉しいです。