「Have a break:06」
このカテゴリでは、勉強の合間の息抜きになるような読み物を書いていきます。
写真・カメラの勉強に飽きたり、疲れてしまったときは、このカテゴリの記事で一息つきましょう。
今回は、独特のクセ・味わいを楽しむ「オールドレンズ」の世界です。入門記事を数回に分けて書いていきます。
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オールドレンズって?
「オールドレンズ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
難しいことはありません。言葉通りの意味で、現行品ではない「古いレンズ」という意味です。
古いレンズでも、一定の条件を満たせば「マウントアダプター」という機材を用いて現代のカメラに装着することができます。「現代のボディに、わざわざ古いレンズを装着して撮影する」…なぜそんなことをするのか理解しがたい方も多いと思いますが、オールドレンズファンはミラーレス機種の普及と共に爆発的に増えています。(理由は別記事で説明します)
最近のレンズ設計は優秀で、どのレンズを買ってもそこそこに写すことができます。更に高価なレンズを買えば、見たままを忠実に、美しく再現することもできるようになってきました。しかし、オールドレンズはそうはいきません。ピント面が滲んだり、コントラストが低かったり、ボケが特徴的だったり…。レンズ設計が古いがゆえに、現代のレンズ性能の評価軸で考えると粗だらけで不完全なものが多いです。しかし、逆を言えば「現代のレンズでは撮れない写真」が撮れるということでもあります。
「オールドレンズでしか撮れない世界がある。」…オールドレンズの魅力は、この言葉で集約できます。この魅力に取り憑かれ、オールドレンズの沼から抜け出せなくなる人を何人も見てきました(もちろん、私もその一人です…)。
オールドレンズの魅力
思い返せば、私がオールドレンズの沼にはまってしまったのは、不自由しない程度のレンズシステムが完成してしまったからだと思っています。マクロレンズから、広角、標準、中望遠、望遠、超望遠…と、一通りレンズシステムを揃えてしまったところで独特の描写に魅力を感じてしまい、オールドレンズの方向に進んでしまいました。
今ではすっかり「沼」にはまってしまった私ですが、私なりのオールドレンズの魅力を書き出してみました。ひとつずつ、解説していきます。
【オールドレンズの魅力】
(1) 一期一会の出会い
(2) 唯一無二の描写
(3) 「写真を撮る行為」を楽しめる
(4) リーズナブルなものも多い
(1) 一期一会の出会い
一般的なレンズはカメラ屋や家電量販店で購入すれば終わりですが、オールドレンズはそうはいきません。お目当ての商品を探して、いくつもカメラ屋を回り、見て・触って…。オールドレンズは、製造されてから年月が経っているため、完璧な状態のものはほとんど存在しません。レンズに使用する硝材の質が現代のものより悪いため経年劣化を起こしているものが多いですし、レンズの傷・カビ・曇りによっても描写が異なってきます。
外観はキレイでもヘリコイドの動きは渋くないかをチェックして、製造時期によって写りが異なるものもあるのでシリアルナンバーもチェックして…。確認ポイントを挙げるとキリがありませんが、自分だけのレンズとの出会いを求めて探し回る時間は、宝探しのようでなんとも楽しいものです。
(2) 唯一無二の描写
前述しましたが、オールドレンズは「目の前のものを速く・忠実に再現する」という点で現行のレンズに大きく劣ります。ボケが大きく乱れたり、収差が補正しきれず酷かったり、すぐにフレアが出たりと、現行のものに比べれば非常にクセの強いレンズが多いです。しかし、「そのクセといかに上手に付き合って、写真の表現に生かしていくか」を考えられるのがオールドレンズの魅力です。見たままに写すのではなく、「オールドレンズはその場の空気感を切り取ってくれる」と表現されることも多いですね。
最近はデジタルで何でも補正できてしまう時代ではありますが、レタッチでは表現できないような独特の写真に仕上がったとき、ニヤリとしてしまうこと間違いなしです。
(3) 「写真を撮る行為」を楽しめる
大抵の場合はレンズとボディの間にマウントアダプターを噛ませて装着することが多いため、レンズはマニュアルフォーカス(MF)で使うことになります。電気接点も使えない場合がほとんどで、撮影モード(露出)はマニュアルで合わせます。現代のオートフォーカスを使用したテンポの良い撮影も楽しいですが、オールマニュアルでの撮影も違った魅力があります。
ピントリングを回して、ピントの山を掴んで、シャッターを押す。露出を調整して、もう1回。
言葉にすれば至ってシンプルですが、この一連のマニュアル動作によって、自分が「何をイメージして、何を撮りたいのか」をあらためて考えさせられます。瞬間的なシャッターチャンスには弱いのですが、じっくりカメラと向き合う撮影も素晴らしいです。
(4) リーズナブルなものも多い
もちろん希少価値が高く高価なレンズも多いのですが、名玉と呼ばれる人気の高いレンズでも、普及数が多かったがゆえにリーズナブルなものも多いです。特に、50mmの単焦点レンズは買いやすいものが多く、ラインナップも豊富です。
また、種類を選べば現行のレンズで揃えるよりも、安価にレンズシステムを組める場合も多いです。全てがマニュアルになってしまうという不便さはありますが、様々な焦点距離のレンズを揃えたい方は、選択肢の一つになると思います。
いかがだったでしょうか。
今回は、危険な沼の一つである「オールドレンズの世界」についての導入でした。次回以降は、オールドレンズの作例などを実際にご紹介したいと思います。